社会保険労務士の試験は、毎年1回、例年8月の第4日曜日に実施されます。申込受付は、全国社会保険労務士連合会試験センターで、例年4月中旬~5月下旬の間に行われます。郵送か窓口による受付になります。試験地は全国の19の都道府県で行われ、合格発表は例年11月中旬頃です。
社労士の試験科目は下記の8科目になります。5つの文章から適切なものを1つ選ぶ「択一式問題」と、複数の単語の中から正解を選択して穴埋めする「選択式問題」に分かれます。択一式問題が210分、選択式問題が80分、合計290分(5時間近く)の試験となります。
(試験科目)
社会保険労務士の試験には、科目免除の制度があります。下記の条件を満たした方は申請することで1部試験が免除されます。試験が有利になりますので条件を満たす方は是非とも利用しましょう。
主な免除資格
免除指定講習
上から2項目目の”全国社会保険労務士会連合会が行う免除指定講習を修了した方”の免除指定講習は、通信指導(通信教育方式で添削指導6月間実施)と、面接指導(講義方式で1科目につき3日間実施)がありどちらも受講しなくてはなりません。修了試験は、講習科目ごとに面接指導の最終日に40分(一般常識は50分)かけて行われます。
労働者災害補償保険法・雇用保険法・労働保険徴収法を修了すれば2科目が免除され、厚生年金保険法・国民年金法を修了すれば1科目免除、労働・社会保険の一般常識を選択で労働・社会保険の一般常識試験が免除されることになります。
申請方法
社労士試験科目免除申請書は、受験申込書と一緒の用紙になっているので、受験の申込と一緒に免除申請を行います。免除申請の結果は試験前の8月上旬頃に本人宛に郵送されてきます。尚、過去の社労士試験において免除申請を行い、免除科目の決定を受けた場合は、その免除は試験合格まで生涯有効となります。
科目免除につきましては全国社会保険労務士会連合会試験センターで申請します。
社労士の試験を受けるには受験資格が必要です。受験資格は、主に1.学歴、2.実務経験、3.その他の国家試験合格等の3つに分けられます。この3つの内のいずれか1つに該当すれば社労士試験を受けることができます。条件は社会保険労務士試験公式HPに掲載されてます。ここではざっくり、わかりやすく掲載するため、実際に受験する際は公式HPにて確認しましょう。
1.学歴
2.実務経験
3.その他国家試験合格
社労士の試験は、社会人の人が受けることが多いようですが、大学生でも62単位以上修得していれば受験資格はあります。早ければ大学2年生で62単位修得してしまう人もいるので、頑張れば大学卒業前に社労士を取ることも夢ではないでしょう。また、学歴では受験資格がなくても、実務経験やその他国家資格に合格すれば社労士になる道は開けています。
実務経験の条件も、ややこしいですが、まとめてみますと、労働社会保険諸法令に関する実施事務か、公務員(行政事務担当)か、社労士・弁護士の補助か、労働組合の役員か、どれかを通算で3年以上従事した人です。一番の近道は、社労士事務所で3年間、補助をしながら勉強するという方法でしょう。受験資格も得られますし、独立した時のノウハウなども直に学ぶことができる環境です。
また上記リストは簡略化してますが、指定の機関で働いてる場合でも”労働社会保険諸法令に関する業務”に従事してない場合は期間を満たしてる場合でも受験資格はありません。
その他国家資格を持っている場合でも社労士試験を受けることができます。司法書士などは、社労士と併せて持っておけば便利な資格でもあるので、余裕がある人は考えてみてもよいかもしれません。ちなみによく比較される司法書士は、年齢・性別・学歴・職歴を問わず誰でも受験できます。
社会保険労務士は、受験者が例年4万人を超える人気の国家資格ですが、実際どのくらい難しいのでしょうか?
難易度はAと位置付けられています。(S→A→B→C→Dと5段階に区分されSが一番難易度が高い)
他の資格と比べてみると、弁護士や司法書士や税理士のように超難関資格ではなく、ファイナンシャルプランナーや宅建よりは少し難しく、言うまでもなく簿記3級や秘書検定のような検定試験ほど簡単ではありません。
合格率も下記のように、平均して8%前後と出ていますので難しい試験であることは確かです。
【社会保険労務士試験の合格率】
年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
平成19年度 | 45,221名 | 4,801名 | 10.6% |
平成20年度 | 47,568名 | 3,574名 | 7.5% |
平成21年度 | 52,983名 | 4,019名 | 7.6% |
平成22年度 | 55,445名 | 4,790名 | 8.6% |
平成23年度 | 53,392名 | 3,855名 | 7.2% |
平成24年度 | 51,960名 | 3,650名 | 7.0% |
平成25年度 | 49,292名 | 2,666名 | 5.4% |
平成26年度 | 44,546名 | 4,156名 | 9.3% |
平成27年度 | 40,712名 | 1,051名 | 2.6% |
平成28年度 | 39,972名 | 1,770名 | 4.4% | 平成29年度 | 38,685名 | 2,613名 | 6.8% |
難しい理由には、試験科目は労働保険と社会保険に関する8科目となり、範囲が非常に広く、細かい内容まで問題になっているからです。合格するには相当の学習時間が必要となってきます。それは最低でも600時間以上は必要だと言われています。法律関係の基礎がない初学者が合格するには相当な努力が必要でしょう。
また、各科目ごとに合格基準としての最低ラインが設定されており、総合点がよくても合格にはつながらないため、全科目ともまんべんなく勉強する必要があります。不得意科目が1つでもあれば不合格になるという点も合格率が低くなる理由の一つです。
社労士の試験は法律改正も頻繁に行われるため、試験直前の対策も必要になってきます。学習にもコツが要ります。
合格率だけ見ると、大変難しい試験であることは確かですが、しっかりとした学習をすれば、合格率の数字ほどには難易度は高くありません。
実際、受験者が30代と40代で6割を占める事から見ても、働きながら勉強をしている人もたくさんいます。忙しい社会人が多いため学習時間を十分に確保できていない人たちもたくさん受験しているのです。それに忙しい中でも合格している人は少なくありませんので、十分可能性がある試験だと言えるでしょう。
合格ラインは、毎年変わり、一定の設定はありません。選択式問題と、択一問題がありますが、60~70%の正答率がラインになっていますので、試験全体得点の70%、かつ各科目の基準点をパスすれば合格できます。
大切なのは、合格ラインを確実に超えるような勉強の計画を立てる事なのです。